ここでは、パルクールについて解説していきます。
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パルクールとは
街なかにある建物、地形などを障害物と見立て、走る・飛ぶ・登るといった動作を組み合わせ、身体一つで目的地まで移動するスポーツです。
そもそも始めは、パルクールとは呼ばれてはおらず、最初はフランス語で
l’art du déplacement(移動芸術)(以下「add」とする)と呼ばれており
addを作り上げたグループ『ヤマカシ』に属するダビッド・ベルがフランス語でコース、経路の意味を持つParcours(パルコース)をもじりParkour(パルクール)と名付けたのが由縁となっております。
また、パルクールの核となる精神にméthode naturelle(メトード・ナテュレル)があり
目的を持ち、子供から大人まで参加でき、秩序だっていて前進的で継続的な活動。
完全な身体的発達を保証すること。
身体の抵抗力を増強すること。
すべての自然的な運動、不可欠な実用的運動の全てのジャンル(歩く、走る、跳ぶ、這う、登る、バランスをとる、投げる、持ち上げる、自衛する、泳ぐ)の良さをよく認識すること。
身体活動の全ての面における能力や実用的運動における力強さを伸ばし、精神的にも身体的にも習熟すること。
利他であること。
となっております。
méthode naturelleの定義で表されているようにパルクールは
子供、大人と年齢に問わず、誰でも出来るスポーツです。
また、実践者のことをトレーサー、フリーランナーと呼びます。
パルクールとフリーランニングの違いは?
近年、多くのメディアやネットで取り上げられてきたパルクールですが
パルクール以外の呼び方でフリーランニングという言葉があります。
パルクールは素早く、効率よく目的地まで行くための移動術とされ、フリーランニングは
移動の中に宙返りなどアクロバットを取り入れたスポーツとして認識されていました。
しかし実際には、イギリスで放送された『ジャンプ・ロンドン』というドキュメンタリー番組で英語圏の人たちにパルクールを紹介する際、フランス語ではわからないため、
英語圏の人たちにもわかりやすく伝えるために世界で共通の言葉として「フリーランニング」という言葉が作られたとされています。
なのでパルクール、フリーランニングと呼び方はありますが意味は同じものとして問題ありません。
パルクールの始め方
基本動作
パルクールには、たくさんの動きがあります。
着地
ランディング【Landing】
高い位置から落下する際に負担を抑える着地の仕方です。
ランディングで負担を抑えられる安全な高さは2mまでとされています。
それ以上の高さから落下する際は、パルクールロールを覚えてからにしましょう。
手順はこちらになります。
※はじめは低い位置から練習をおこなってください。
1、低い位置の障害物に立ちます。
2、着地点に狙い定めジャンプをします。
3、着地点に足を着地します。
4、着地をしたと同時にひざを逆ハの字のようにひざを外側に曲げ衝撃を吸収します。
※ひざを外側に曲げないと着地をしたときひざに顔をぶつける恐れがありますので注意をしましょう。
5、ひざを曲げたら地面に手をつきます。(ひざだけでは吸収しきれなかった衝撃を吸収するために手をつきます)
パルクールロール【PKroll】
ランディングだけでは、負担を抑えられない高さから落下する際に行う着地の仕方です。
着地したときにかかる力をロールを行うことで力を逃がし、足にかかる負担を抑えることができます。
またロールで、負担を抑えられる安全な高さは3.5mまでとされており、
プロのトレーサー(実践者)になると8mの高さでも問題ないとされています。
上記動画は右肩入りになっていますので左肩入りに方は逆バージョンでおこなってください。
手順はこちらになります。
※始めはマット、芝生、砂場など地面が比較的柔らかいところで練習をおこなってください。
1、しゃがんだ状態から両手を左斜め上につきます。
2、右腕を地面につけるように右ひじを外側に曲げます。
3、左側にあごを引き右肩を地面につきます。
4、左足→右足の順に地面から離します。
5、地面に右肩から左腰(左足付け根の上辺り)を通るように転がります。
6、左足→右足の順に地面へ着地をおこないます。
7、地面につく順番のイメージとしては両手→右腕→右肩→背中→左腰になります。
パルクールロールには、ほかにもダイブロールなどさまざまな種類があります。
歩行
モンキーウォーク【Monkey Walk】
モンキーウォークとは名前の通り、猿の歩き方を用いた移動方法です。
助走
スプリットステップ【split step】
スプリットステップとは、コングヴォルトなどをおこなう際に必要になる助走になります。また、ほかの技にもたくさん使用する技なので覚えておきましょう。
上記動画は右足踏切になりますので左足踏切の方は逆バージョンでおこなってください。
手順はこちらになります。
1、右足を出します。
2、左足を出して初めに右足を出した間隔より狭く右足を出して踏切をおこないます。
3、イメージとして「タンッ(右足)タ(左足)タンッ(右足踏切)」ようにしましょう。
跳び移る
スタンディングプレシジョン【Standing precision】
スタンディングプレシジョンとは、その場から両足で飛び次の地点に移る動作です。
手順はこちらになります。
1、両腕を後ろの引き、ひざを曲げます。
2、引いた両腕を前に振り、曲げたひざを伸ばし踏み切ります。
3、踏み切ったあと空中でひざをもう一度曲げます。
4、両足を着地点に持っていき着地をおこないます。このとき足指の付け根より少し下(母指球の横ライン上)が障害物の手前の角に乗るように着地をおこないます。
5、着地と同時にひざを逆ハの字のように外側に曲げ、後ろに引いていた両腕を前に出し着地の衝撃を和らげます。このとき膝を外側に曲げていないと勢いが強い場合、ひざに顔をぶつけケガをする恐れがありますので必ず、外側に曲げましょう。
プレシジョンには、スタンディングプレシジョンのほかにランニングプレシジョンなど
さまざまな種類があります。
跳び越え
セーフティーヴォルト【Safety Vault】
セーフティーヴォルトとは、障害物に片手を付き対角の足を乗せ、間にもう一方の
足を通し障害物を越える動作になります。
また、ほかの呼び方としてステップボルト(Step Vault)とも呼ばれています。
上記動画は左足踏切の左足着地になりますので右足踏切の右足着地の方は逆バージョンでおこなってください。
手順はこちらになります。
1、身体を左側に倒し、左手を障害物につきます。
2、右足を障害物に乗せます。
3、左足を踏切、左手と右足の間を通すような形で障害物を越え着地をおこないます。
4、左足が地面に着地したら右足を障害物から降ります。
5、降りると同時に左手で障害物を後ろに押し、身体を前に出します。
ヴォルトには、セーフティーヴォルトのほかにスピードヴォルトなどさまざまな種類があります。
壁系
壁のぼり【ウォールラン(Wall Run)+キャットリープ(Cat leap)+クライムアップ(Climb Up)】
壁を登るには、3つの動作が必要になってきます。
動画にそって順に解説をおこなっていきましょう。
ウォールラン(Wall Run)
壁を蹴り上に上がる動作になります。
手順はこちらになります。
上記動画は左足から壁を蹴り上がるタイプになりますので右足から方は逆バージョンでおこないましょう。
1、助走をつけます。
2、壁から約1歩分離れたところから左足を出し、壁を蹴ります。このとき壁に対してまっすぐ左足で押し、身体が後ろに反るイメージでおこなってください。
※身体を後ろに反らす前に上に蹴り上がろうとすると壁に対してグリップ力がなく足が滑ってしまいます。なので一度助走をつけず左足で壁を押し、身体が後ろに反らし足が滑らずちゃんとグリップしているイメージをつかんでからおこないましょう。
3、壁を左足で押すと同時に胸、腰を上に上げ身体を上に上げます。
4、右足で壁を蹴ります。このとき左足の踏切とは違い身体がすでに上に上がっているので正面から押すことができません。なので滑ってしまいますが強く蹴り上げてください。
5、手を伸ばし、壁の角を掴みます。
キャットリープ(Cat leap)
壁の角をつかみ(キャットグラブ)両足を曲げ壁につける動作になります。
手順はこちらになります。
1、壁の角を掴みます。このときは手はおにぎりを作るような形で角に合し壁を掴みます。
※指は人差し指から小指だけを角上にのせるのではなく、親指から小指まですべて角上にのせます。
2、腕を伸ばし、膝を曲げた状態で足を壁につけます。このときなるべくひざを高くした位置でつけましょう。
3、上記の状態を力まずにキープします。(脱力状態にする)
クライムアップ(Climb Up)
キャットリープの状態から身体を上に上げ登る動作になります。
右足で壁を蹴り上がるタイプになりますので左足から蹴り上がる方は逆バージョンでおこなってください。
手順はこちらになります。
1、キャットリープの状態になります。
2、左足を壁から離しフリーの状態にします。
3、左足を真上に振り上げます。
4、振り上げたと同時に右足で壁を前に押します。このとき壁に対して真下に押そうとするとグリップ力が足りず足が滑ってしまいますので注意してください。
5、前に押した反動で身体が後ろに行こうとするので肘を曲げて引っ張り胸を壁に向かって前に出します。
6、胸が壁の高さを越えたら手のひらを壁の上につくように入れ替えます。
7、入れ替えたらひじを伸ばします。
8、右足→左足と上にのせて上がりましょう。このときは上がりやすい足から上がってください。
今回壁のぼりについて紹介しましたが壁を使用してできる技にはほかにも
チックタックなどさまざまな種類があります。
フリップ(回転技)
側宙(Sideflip)
今回バク宙、前宙ではなく側宙を紹介します。
っていうのもありますが実際、バク宙に比べ恐怖心が少なく前宙よりも難易度が低いとされております。(個人差はあります)
上記動画は右足踏切になりますので左足踏切の方は逆バージョンでおこなってください。
手順はこちらになります。
1、助走(スプリットステップ)をつけます。
2、右足で踏切ます。
3、左腕を後ろに引きます。このときひじをうえに上げるイメージおこなってください。
4、身体が浮いたら右腕を身体のうちに入れ込むようにして右太ももを抱え込み身体を丸めます。
5、右腕で抱え込むと同時に左腕でも左太ももを抱え込みます。
6、地面が見えたら右足→左足の順に着地をおこないます。(両足着地でもかまいません)
フリップは初心者が行うには危険な技なので練習する際はエバーマット(失敗しても怪我をしないフカフカなマット)などがある施設で必ずおこなってください。
また、1人では練習せず指導員、実践者のもとでおこなってください。
練習場所(スポット)
まず練習場所のことをトレーサーのあいだではスポット(Spot)と呼んでいます。
スポットにはさまざまな場所があり、地域によってはトレーサーが集まってみんなで楽しく練習をおこなっています。
公園
比較的安全にパルクールの練習ができます。
ただし、公園にもよりますがたくさんの利用者がいる場合は周りをよくみて
安全におこないましょう。
体育館
また、エバーマットなどがあれば側宙などアクロバットを安全に練習することができます。
森林
また、森林でパルクールをすることを「森クール」などと呼ばれたりもします。
しかし、森林には危険な場所や野生の動物が潜んでいますので練習をする際は
あまり一人では行わず、複数人で練習すること、常に周囲を把握し危険がどこにあるか
頭にいれておくことをおすすめします。
パルクールパーク
出典:https://www.gemgymsetagaya.com/
パルクールパークでは、パルクール専用に作られた施設になります。
また、プロのパフォーマーのもとで指導して頂けるので初心者の方でも
練習しやすく一番早く上達が見込めるのではないでしょうか。
ここまで、練習場所について紹介してきましたがそれ以外にも練習するところはたくさんあります。
また、スポットはここ!って決まった場所だけではなく
例えば駐車場の白線をプレシジョンしたりなど自分たちで作ったり、
散歩しているときにここはスポットになりそうだなとか探したり
考えたりするのもひとつの楽しみでもあります。
パルクールの注意点
ここまでパルクールについてたくさん紹介してきましたが、パルクールを楽しくするためには
・人に迷惑をかけない
・不法に建物に侵入をしてはいけない
・練習をする際には安全性を確かめておこなうこと
・節度を守って練習を行う
・無茶な挑戦はしない、自分のレベルにあった練習を見つけ、少しづづ成長をしてく。
などほかにもたくさんありますがみんな安全に仲良くパルクールをしましょう。